これから本格的に船釣りを始めたい。だから道具も自前の物が欲しい。
となった時、最も大きい出費になる電動リールの選び方をまとめてみた。
今回文字数多めです。

船釣りたのしー


大前提として

  • ここでいう船釣りとは、『コマセマダイ』『コマセ五目』『カツオ五目』『アマダイ五目』などの餌を使う釣りを指しています。
  • ルアーの釣りでは電動リールを使うパターンはそれほどありません。(電動ジギング、電動タイラバ、ディープジギングの回収だけ電動、など例外はあります。)
  • 電動リールを電源につながずに手巻きで使う、などすれば道具の流用も当然可能です。が、ものすごく大変なので慣れていない方にはお勧めしません。
  • 電動リール含むタックル一式は釣り船で大体レンタルできます。自前で揃えるのは非常にコスパが悪いです。
という事を頭に置いて読んでいただければ幸いである。

船で借りられる物を自分で一式(竿、電動リール、バッテリー、ライン、ロッドキーパー、天秤、ビシ、オモリetc)そろえると10万円くらいは掛かってしまう。
1回のレンタルは1000円~5000円くらいなので、相当やり込まないと元が取れない。

しかもレンタルの場合
  • メンテしなくていい
  • 保管場所を考えなくても良い
  • どの釣りにも行ける(例えば自前の道具がアジを釣る道具ではカツオ釣りは厳しいので、結局レンタルするか新しく道具を揃える羽目になる。)
という大きなメリットがある。

揃えるならば、その後の管理も含めて沼に飛び込む覚悟をしましょう。
僕はもう泥沼です。おいでよこちら側へ。


駿河湾のオフショア事情


ターゲットも釣法も豊富

駿河湾のオフショアはターゲットが多彩なので、僕が挑戦したことがあるだけでも
(赤は餌釣り)(青はルアー釣り)
  • マダイ五目・アジ五目・イサキ五目・カツオ五目・アマダイ五目・タチウオ・ヒラメ泳がせ
  • タイラバ・ライトジギング・サーベルテンヤ・キャスティング(シイラ・サワラ・カツオ)
と様々な釣法でターゲットが狙える。
(『五目』とは、メイン以外にも色々狙うよ!という意味で、マダイ五目だと他にもイサキとかアジとかも釣れたりする。)
これ以外のターゲットや釣法も沢山ある。

例えば、「マダイを釣りたい!」となった時、『マダイ五目』『タイラバ』『テンヤ』などが釣法の候補に挙がってくる。
大体のターゲットは釣り方が一つだけでなく、様々なアプローチで狙うことができるのだ。

どの釣り方が優れてるとかではなく、状況によって一長一短がある。
それは海の状態だったり、ターゲットが今食べている餌の種類だったりが影響してくる。

釣り人の好みもあるのでお好きな釣り方を選んで楽しめばよいと思う。
どの釣りもそれぞれ面白い。

船宿が多い

釣り船が多いので、年中いつでもなにか魚を釣らせてくれる。
例えばタックルが1セットしかなくても、よっぽどピーキーなタックルでなければ年中どこかの釣り船で使うことができる。

水深が深い

駿河湾の海底地形図
一気に深くなる雰囲気がお分かりいただけるだろうか

出船してから20分くらいで水深100mを超える、なんていうポイントがざらにある。ターゲットが種類豊富な理由の一つである。

また、水深の深さは電動リールの使用の大きな理由になってくる。

オモリ(ビシやカゴ)やルアーが重たい

船釣りの場合、オモリの重さは大体海域によって決まっているのだが、浅くて60号(ヒラメ泳がせ:水深10m前後)、平均80号(五目各種:水深さまざま)、深くて150号(石花海ヤリイカ:水深200m前後)まで使うことがある。
1号=3.75gなので、『80号=300g』『150号=563g』のオモリを上げ下げすることになる。

しかも仕掛けには天秤やビシなどが付いているので、巻き上げる際は水の抵抗もありそれより重くなる。

これも電動リール使用の理由になってくる。

最近はラインを細くした分オモリも軽くした『ライトタックル』が流行っているが、タックルバランスが少しシビアになるため今回は例外として考えてる。

ちなみにメタルジグやタイラバも重い物を使う場所があり、『近海:45g~120g』『御前崎沖・金州・石花海:120~300g』とポイントによって幅が広い。

頻繁に手返しが必要

これは駿河湾に限らず船釣り全般で当てはまる。

手返しとは、『仕掛けを一度手元まで巻き上げて餌や仕掛けの状態を確認する』ことを言う。

当たり前だが針に餌がついていなければ魚は釣れない。
また『コマセ』という小エビ(みたいなもの)を撒き餌にして魚を集める釣法では、コマセの補充も必要になってくる。

ただ待っているイメージが強い餌釣りだが、やってみると意外と仕掛けを巻き上げたり落としたり忙しいのである。

やはりこちらも電動リールの使用理由になる。


電動リールが必要な理由

上記の事情をまとめると
  • 狙う水深が深い
  • 仕掛けが重たい(約300g~550g+水の抵抗)
  • 頻繁に上げ下げしないといけない(状況によっては5分に1回以上のペース)
という事になる。

『水深100m以深から』『水の抵抗込みで300g以上になる重さを』『頻繁に上げ下げする』
これ、やったことあるがとても大変なのである。

かといって手返しをサボると当然魚が釣れなくなって本末転倒になる。

よって魚を釣る、そのためだけに電動リールが必要になってくる。

ここまでが、『電動リールが必要なんだよ!』という言い訳理由である。


電動リールの説明

機種を選ぶ前に、電動リールを説明したい。

電源(12Vで、専用の物を持ち込む以外にも船に備え付けられていたり、車用のバッテリーを持ち込む人も居る。)とリールをコードで繋ぎ、レバーやジョグダイヤルでリールを巻き上げるのが電動リールである。当然ハンドルで巻くこともできる。

水深や、最新機種だと魚探の映像を移したりする液晶が装備されている。

人力では不可能な速さで、労力を使わずに巻いてこれるのが最大のメリットである。
コードが着いていることと、本体重量による取り回しの悪さが最大のデメリットになると思う。

『魚が掛かった時に手で巻き上げないのは邪道だ』という方もいるが、仕掛けの回収時のみ電動巻上で、魚を釣り上げるときは手巻きで楽しむ方も居る。要は使い方だと思う。

主なメーカーは『シマノ』と『ダイワ』で、最初の一台はこの2社のうちから選ぶことになると思う。

2社で表記が異なるが、基本的に番手(例:ビーストマスター2000←この数字の部分)が小さいほど機種としても小さく、巻けるラインの太さが細くなる。(太いラインを巻いても良いが、長さが実用的にならない)

電動リールを選ぶ際はラインを『どのくらいの太さで』『どのくらいの長さ』巻きたいかが選択基準になるので、この番手は非常に重要です。

ちなみにシマノVSダイワ論争は根深い。
僕は2社とも使っていて、どっちもいいですよ。

シマノ製電動リールのランクと番手の使い分け


機種ランク

シマノの電動リールには『プレミオ』『プレイズ』『フォースマスター』『ビーストマスター』という4種類の機種がある。

うち『ビーストマスター』は更に派生していて、型番末尾に『XP』『XS』『EJ』『MD』とついている機種がある。が、これは初心者の方は気にしなくてよい。

この機種を下から順番に並べると
  1. プレミオ
  2. プレイズ
  3. フォースマスター
  4. ビーストマスター
の順番になる。まあ値段の順である。

番手の選び方

シマノはメーカーサイトに分かりやすい表を用意してくれているのだが駿河湾では
  • マダイ五目・アジ五目・イサキ五目・アマダイ五目:800番~3000番
  • カツオ五目:2000番~6000番
  • タチウオ・ヒラメ泳がせ:200番~1000番
辺りが目安だと思う。

ダイワ製電動リールのランクと番手の使い分け


機種ランク

ダイワの電動リールは『タナコン』『レオブリッツ』『シーボーグ』『マリンパワー』という機種構成である。
だが、『タナコン』『マリンパワー』の2種は、大きさ的に一般的ではない(水深300m以深を攻めたり、マグロ等大物釣りに使う)ため、今回は考察に含めない。

残った機種を下から順番に並べると
  1. レオブリッツ
  2. シーボーグ
の順番になる。

それに様々ローマ字がついていてわかりづらいのだが、
  • 『G300』など冒頭にG:ジギングモデルで耐久性が高めてある
  • 『S400』など冒頭にS:パーツ構成を見直した廉価版
  • 『500J』など末尾にJ:『ジョグパワーレバー』という装備付きでダイワの主流
  • 『500JP』など末尾にP:同サイズ内ではハイパワーなモデル
  • 『500JS』など末尾にS:同サイズ内ではハイスピードなモデル
  • 『500MJ』など末尾前にM:『メガツイン』という変速機能搭載モデル
  • 『500MJ-AT』など末尾にAT:同サイズ・グレードのハイグレードモデル
という特徴をそれぞれ表している。

番手の選び方

ダイワはシマノに比べて番手が少なく選びやすいように思う
  • マダイ五目・アジ五目・イサキ五目・アマダイ五目:300番~500番
  • カツオ五目:500番~800番
  • タチウオ・ヒラメ泳がせ:200番~300番
辺りが目安。

機種の互換

互換という表現が正しいか分からないが、パワーで比較した場合
  • プレミオ ⇒ ×
  • プレイズ ⇒ ×
  • フォースマスター ⇒ レオブリッツ
  • ビーストマスター ⇒ シーボーグ
くらいの感覚。

番手の互換

どちらのメーカーも糸巻き量の違いで番手がつけてある。
表にしてみた。

糸巻き量
(m)
0.8号ー270
1号ー220
1.5号ー150
2号ー300
3号ー200
4号ー150
3号ー300
4号ー250
3号ー400
4号ー300
5号ー500
3号ー500
4号ー400
5号ー300
4号ー450
5号ー350
6号ー300
シマノ200600800100020003000
ダイワ200300400500

糸巻き量
(m)
5号ー500
6号ー400
8号ー300
5号ー600
6号ー500
8号ー300
6号ー750
8号ー600
10号ー500
8号ー900
10号ー650
12号ー550
8号ー1000
10号ー800
シマノ400060009000
ダイワ6008001200


電動リールの選び方

ここまでが前振りである。本題に入ろう。

自分のやる(やりたい釣り)から、ラインを選ぶ

上にも書いた通り、
電動リールを選ぶ際はラインを『どのくらいの太さで』『どのくらいの長さ』巻きたいかが選択基準になる。

ラインの分野は進歩目覚ましく、どんどん細糸化が進んでいるのだが(ラインが細くなるほどタックルや仕掛けを軽くできてアタリが分かりやすくなる)、基本的には

  • マダイ五目・アジ五目・イサキ五目・アマダイ五目:3号~5号、300m
  • カツオ五目:4号~6号、300m
  • タチウオ・ヒラメ泳がせ:2号~4号、200m
が駿河湾の目安になっている。

電動リールの機種を選ぶ

この機種とは『プレミオ』『プレイズ』『フォースマスター』『ビーストマスター』『レオブリッツ』『シーボーグ』の6種類の事。

このうち『プレミオ』とダイワの『ジョグパワーレバー未装備品(末尾にJがついていない物)』は基本設計が古いので避けた方が良い。

実際の性能は『プレイズ』で十分。

『フォースマスター』『レオブリッツ』で末永く使用できる。便利機能も豊富。

『ビーストマスター』『シーボーグ』は上記の釣り程度では過剰性能。万が一の大物や、一つ小さいサイズで大物を仕留めたい時などの選択肢に。

後はお財布との相談になる。

僕の現況

愛機2000EJ
10年使うつもりで奮発したビースト2000EJ。人生初購入の電動リール

手持ちの電動リール大きさ比較
上がダイワ500番。下がシマノ2000番。

僕の所有リールは現在『15 レオブリッツ500J(ダイワ)』『20 ビーストマスター2000EJ(シマノ)』の2台。

写真ではわかりづらいが大きさが若干違う。
500番の方で手の大きい僕がギリギリ片手で扱えるぐらい。
取り回しは2000番が圧倒的に良い。

使い分けとしては
レオブリッツ:6号300mを入れて金州カツオ等の遠征用
ビーストマスター:4号400mを入れて近海~遠征五目の万能用

という風に使い分けている。この2台体制で、
  • マダイ五目・アジ五目・イサキ五目・カツオ五目・アマダイ五目・タチウオ・ヒラメ泳がせ
は出来ているし、これに加え
  • オニカサゴ・アカムツ・ヤリイカ
もやることができる。
概ね駿河湾内は対応可能な体制である。

駿河湾電動リール、僕のおススメ

上記を使って来た経験から、『シマノ:3000番 ダイワ:500番』が駿河湾のベスト番手だと思っている。

理由として
  • 深場、金州遠征も対応可能な糸巻き量
  • ギリギリ手持ちでも扱える大きさと重さ
が主な理由。

これにパワーと値段を鑑みると、機種は『レオブリッツS500J』がベストバイ。


これに4号400mを入れ、カツオをやりたくなったら6号300mに入れ替えて使うのがおススメです。


購入の注意点

電動リールはヤフオクやメルカリ・店舗の中古販売など、中古販売で購入しやすい。
割安で惹かれるのだが
  • 通常のリールに加え、電源基板やモーターなど不具合が出る箇所が多い
  • 酷使されているパターンが多い
  • 巻かれている糸も劣化具合が分からないので、結局巻きなおすことになる
など通常のリールより注意点も多い。

割安に買ったのに、『メーカーにオーバーホールに出したために結局新品買えるくらい金額が掛かってしまった』というパターンもあるあるなので、目利きの自信が無ければ新品を買うのが無難だと思う。


ここまで書いて…

と、ここまで気合を入れて書いてきたところで
というページを見つけてしまった。頑張って書いた後に見つけた衝撃よ…。

こんな長文なページより圧倒的にわかりやすく、簡潔に作ってあって、そっちを見れば事足りてしまうのである。

せっかく書いたの悔しいからこのままアップするけど、是非イシグロさんのページを参考にしてください。